標高1000mに及ぶ山々に囲まれた、旧利賀村(現南砺市)の集落跡に、2000年12月に移転。オーベルジュ・レストランとして生まれ変わった「レヴォ」の「進化」は、多くの食通から「深化」と評されています。
冬には背丈を越える積雪に見舞われることもある利賀村は、急激に過疎化が進み、荒れた山野が各所に残されました。しかし、そこは谷口英司シェフにとって、食材の宝庫でもありました。
この地にスタッフとともに移り住み、四季を繰り返すうち、谷口シェフの心と身体に利賀村の土・水・空気が染み込んでいったのでしょう。
その料理は、この大きな自然の中で自ずと「深化」し、「進化」を続けているのです。
料理のみならず、オーベルジュ・レストランとしての先進性、独創性において、日本の最先端をいく「レヴォ」。その魅力を、シェフの信頼が厚い富山市八尾町在住の写真家・高野裕輔さんに取材していただきました。
「レヴォ」には3つの宿泊棟とサウナ棟があります。自然の中で美食・美酒に浸り、目覚めの朝には、利賀村に伝わる保存食を取り入れた郷土料理が待っています。ここには、厳しい環境の中で息づく地域の食へ、谷口シェフのリスペクトが込められています。
「レヴォ」にとって最も重要なのは、食材提供者、猟師、器や布のアーチスト、日本酒やワインの生産者、村の人など、「チーム・レヴォ」と呼ばれる皆さんの存在です。開店3周年を記念した「感謝祭」には80人もの人が招待され、改めて、このオーベルジュ・レストランが、いかに多くの人に支えられているのかが分かります。
谷口シェフは、「ミシュランガイド北陸2021」で二つ星を獲得。「ゴ・エ・ミヨ」では2017年と2022年に2度も「今年のシェフ賞」を受章するなど、現代日本を代表する料理人の一人です。「レヴォ」は、最先端の前衛的地方料理と、その「進化」を体感するために、何度も訪れるべきオーベルジュ・レストランといえるでしょう。
「レヴォ」
住所 〒939-2518 富山県南砺市利賀村大勘場田島100番地
電話 0763-68-2115
URL https://levo.toyama.jp
アクセス 東海北陸自動車道 五箇山ICから約30分
文/宮川俊二
撮影/高野裕輔
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