冬の間、深い雪に覆われる青森県津軽地方。厳しい気候のもと、人々は雪国ならではの暮らしの知恵を生み出し、地域の文化を育んできました。一方で、多くのミネラルを含んだ雪は、大地を潤し、豊かな恵みをもたらしてくれます。
季節の移ろいの中で、自然界の一瞬の煌めきを感じ取り、それを料理に、「自分の言葉」として表現する料理人がいます。
茶寮「澱と葉」のシェフ・藤田潤也さん。そして、パートナーでリネン作家の岡詩子さんです。
藤田さんは1993年青森市生まれ。八戸市で育ち、高校の食物調理科を卒業後、関東のレストランに就職します。しかし、規模の大きな厨房の流れに馴染めず帰郷。八戸市のビストロワインバーでワインやお茶を習得し、2017年、岡さんの故郷、北津軽郡鶴田町で1日1組完全予約制の「澱と葉」を開きました。
「ワインは底に澱が、お茶は葉が残るように、私たちはお客様の『美味しい』を支える澱と葉のような存在でありたいと思っています」と、お二人。
「自分の料理とは」「青森らしさとは何だろう」・・・模索を続けた藤田シェフの足は、岩木山と、その裾野に広がる津軽の自然に向かっていきました。勢いのある、瑞々しい野菜や山菜が藤田さんの料理を彩ります。
「自然からたくさんのモノをいただくように、この地で私たちが創り出す料理が、お客様の中で、何かを得るきっかけになればと思います」
岩木山の麓に広がる津軽平野。この地ならでは、藤田さん、岡さんならではの、皿の上の物語が、さらに大きく展開されようとしています。
澱と葉
住所 〒青森県北津軽郡鶴田町鶴田前田10-6
問い合わせ(予約など)
oritoha.siki@gmail.com
https://www.instagram.com/oritoha/
アクセス 津軽自動車道 五所川原ICから約15分
つがるワイナリー
住所 〒038-3503 青森県北津軽郡鶴田町鶴田小泉335-1
電話 0173-23-5703
URL https://www.tsugaru-winery.com
アクセス 津軽自動車 五所川原ICから約10分
文/宮川俊二
撮影/齋籐崇
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