長崎市の外海(そとめ)地区は、かつて潜伏キリシタンたちが静かに信仰を守り続けた祈りの地。出津教会や大野教会、ド・ロ神父の遺した建物群は、その信仰の足跡を今に伝えています。
遠藤周作の小説『沈黙』の舞台とも重なるこの土地は、深い歴史と魂の記憶が刻まれた場所。角力灘に沈む大きな夕陽が、碧く深い海を照らしながら静かに沈む光景は、まるで祈りそのもののようです。信仰とは何か、人は何を信じて生きるのか——そんな問いが、この風景の中からそっと心に語りかけてきます。
自然と歴史、そして祈りが交差する外海は、訪れる者に深い余韻と静かな感動を残す、まさに“祈りの原風景”と呼ぶにふさわしい場所です。
アクセス 道の駅 夕陽が丘そとめ JR長崎駅より車でおよそ45分。
撮影日時 2025年7月下旬 午後6時~7時30分
気温 31℃
文章/坂本憲司
写真/坂本憲司
Related Posts
2025-07-22
極楽の風景、静かに佇む浄土ヶ浜
陸中海岸の中央部、宮古湾に抱かれるようにして佇む「浄土ヶ浜」は、その名にふさわしく、まるで極楽浄土の風景をそのまま現世に映したかのような景勝地です。白く滑らかな
2024-11-10
ダイダラウルトラボウの物語
小豆島の南部、三都(みと)半島の神浦(こうのうら)に、瀬戸内国際芸術祭2022の作品「ダイダラウルトラボウ」(伊東敏光+広島市立大学)が佇んでいます。「日本の山
2025-01-27
黄金色に輝く英虞湾の夕日と島影
志摩市にあるともやま公園の桐垣展望台からは、リアス海岸の英虞湾を一望できます。伊勢志摩サミットの会場となった賢島をはじめ、無数に浮かぶ大小さまざまな島々が特徴的